転職エージェントから、「紹介できる求人はありません」と言われた
転職エージェントと面談後、連絡も求人紹介もない
転職エージェントに登録したのに、連絡がまったくない
せっかく転職エージェントに登録したのに、「紹介できる求人はありません」と言われたら落ち込みますよね。
著者も転職初心者時代には断られたことは一度や二度ではありません。理由もわからず途方にくれました。
断られたことで転職活動をやめてしまう人もいるでしょう。ですが、ここで転職をあきらめてはもったいないです!転職は若い方が有利なのに、一番若い今あきらめたら一生チャンスはありません。
転職エージェントは28,000社以上あります。一人や二人の担当者に断られたくらいであきらめる必要はありません。
著者は元転職エージェントで、自身でも10社以上で働いた経験があります。その経験をもとに、断られた原因と具体的な対策を詳しく説明します。
転職エージェントから断られたら、この記事で転職の戦略を立て直して好きな仕事をつかんでください。
転職エージェントから求人紹介を断られても、連絡がなくても大丈夫です。
この記事で理由を理解して対策をすれば希望の転職がかないます。
転職エージェントが断る理由 元エージェントが裏事情を教えます
転職エージェントが断る理由の前に、転職エージェントのしくみを知ってください。これを知れば、断られることにメリットがあることもわかります。
転職エージェントが利益を上げるしくみ
転職エージェントはごく一部を除いて無料で利用できます。それは、採用企業から成功報酬をもらっているからです。つまり転職エージェントの「お客様」は採用企業です。転職エージェントは企業の採用手続きの負担を減らすために、紹介する時点で求職者をスクリーニングしています。求職者目線だと、求人情報をくれるだけに見えますが、転職エージェントは応募の第一段階だと思ってください。詳しい転職エージェントの仕組みは「転職エージェントの種類と特徴・儲けのカラクリ・気になる費用は?」で説明しています。
転職エージェントからお断りされるメリット:求職者・採用企業・転職エージェント
実は転職エージェントから紹介をお断りされるメリットは、求職者、採用企業、転職エージェント、それぞれにあります。これを知れば、転職活動をより効率良く進められるうえに、断られて落ち込むことがなくなります。
求職者:求職者:応募のムダ打ちが減る=効率的な求職活動で体力・メンタルを消耗しない
紹介を断られることは、応募のムダ打ちが減るので、受かる可能性が高い企業への応募に集中できるメリットです。結果的に省エネで転職に成功します。応募は、求人情報の検討、企業情報収集、書類作成とすごく手間も時間もかかります。せっかく応募してもお見送りになったら気持ちが沈むし、面接まで進んだら交通費だってかかります。一人で転職活動をしていたらムダ打ちだったかもしれない企業への応募を、転職エージェントから事前に断られることはメリットです。
採用企業:選考にかかる時間・労力のムダ使いが減る
採用企業が転職エージェントを利用するのは、採用にかかる時間と労力を減らしながら良い人材を獲得するためです。実は転職エージェントを利用するのは転職サイトに求人広告を出すことよりずっとコストがかかります。それでも、転職エージェントが前もって企業の採用基準に合わせて紹介すれば、企業は時間も労力も節約できます。
転職エージェントが紹介を断るのは、採用企業にとってもメリットがあるのです。
転職エージェント:採用企業への信用と営業成績をキープ
転職エージェントが求人紹介をお断りすることで、採用企業に対する信用を保つことができます。また転職エージェントはノルマを抱えていることが多いので、営業成績を維持することができるメリットがあります。
著者はノルマよりも、企業からの信頼を失わないようにすることに気を配っていました。信用されると継続して契約をもらえることだけでなく、その企業の志向や内部事情にも詳しくなるので、紹介した求職者さんの内定率が高くなるからです。結果としてノルマも達成できます。
これは、転職エージェントから紹介された求人ならある程度見込みがあるということなので、短期間で内定を取りたい人は転職エージェントを活用しましょう。
転職エージェントが求人紹介をお断りするのは、企業からの信用維持とノルマ達成のメリットがあるからです。
これもお断りサイン:登録後面談がない・面談後連絡がない
ハッキリと「紹介する求人はありません」と言われなくても、次の2つの場合はお断りのサインです。
1)転職エージェントに登録したあと面談依頼の連絡がない
2)面談はしたけれど、その後連絡がない
ハッキリと言ってくれた転職エージェントには、ぜひ理由を聞いてみてください。理由がわかれば対策を立てられるので、めんどうでも、聞くことが辛くても、聞くことをおすすめします。
転職エージェントの利用を断られた経験がある121人のアンケート
Biz Hitsによる「転職エージェントの利用を断られた経験がある121人のアンケート」の結果と転職エージェントの経験から11の理由を説明します。どの理由にも言えるのですが、絶対に解決策はあります。
理由のあとに対策を説明しますので、理由がわかっている人は、「転職エージェントに断られた際の対策5選」から読んでも良いでしょう。
「紹介できる求人はありません」と言われる理由11選
理由1:スキル・経験が足りない
スキル・経験が不足していると、紹介を断られることがあります。求職者のスキル・経験に合った求人情報を転職エージェントが持っていない場合は紹介できないからです。「採用企業:選考にかかる時間・労力のムダ使いが減る」で説明したように、転職エージェントを利用するのは企業にとって高コストです。費用が高いので、採用企業はその費用を回収するために即戦力になるスキル・経験を求める傾向にあるからです。
理由2:希望する求人がない
あなたが希望する求人を転職エージェントが持っていないことで断られることもあります。「持っていない」理由は次の4つになります。
1)そもそも求人が少ない職種を希望している
売り手市場と言われている転職市場ですが、職種によってかなりちがいます。厚生省が2023年3月に発表した職種別求人倍率では、約19倍も開きがあります。求人が少ない職種を希望している場合は、当然紹介される可能性が低くなります。
2)求人が少ない時期に転職を希望している
求人が少ない時期に転職活動をしても紹介が少なくなることがあります。多くの企業の事業年度は4月はじまりなので、新年度と下半期のスタートに合わせて採用活動をします。
求人数が増加するのは1~3月と9~10月です。また、大型連休前後は採用担当者が応募へ対応する時間が少ないので応募しても難しい時期になり、転職エージェントも消極的になります。
著者も連休前後は断られたことがあります。最近は休暇も長くなっているのでその分前後がいそがしくなっています。12月中旬に採用企業へ問い合わせると「今はバタバタしているので、休暇明けにしてください」と言われました。
求人数は一年のなかでも増減があるので、少ない時期だと紹介がない可能性もあります。
3)求人が少ない地域で転職を希望している
求人が少ない地域を取り扱っていない転職エージェントも多くあります。まめに企業訪問ができないのでサポートに限界があるからです。企業数が少ない=求人数が少ない地域を希望している場合は断られることがあります。
4)転職エージェントが得意としていない業界・職種を希望している
転職エージェントには総合型と特化型があります。特化型で専門外の業界・職種を希望している場合は、断られることが多いです。登録するときに、総合型か特化型が確認して、特化型なら専門分野を見極めましょう。転職エージェントの種類や強みは「転職エージェントの種類と特徴」で詳しく説明しています。
理由3:年齢が高め
年齢が高いことが理由で紹介を断られることがあります。これは、下記の理由によります。
1)教育・研修のコストを考え、企業は定年まで働ける期間が長い人を好む
2)今までのやり方・社風に染まったひとより、自社のやり方をゼロから覚えてくれる人を選ぶ
3)体力や記憶力の心配
実際に厚生労働省の調査でも、年齢が上がるにつれて転職率が下がるのがわかります。
※60~64歳で転職率が上がるのは、定年後に同じ企業で再雇用を選ばず転職するひとが多いからです。
若い方が転職には有利です。今が一番若い=チャンスが一番多いときなので、転職エージェントに断られたからと言ってあきらめてはもったいないです!
理由4:未経験業界・職種への転職
年齢が高くなるにつれ、未経験の業界・職種への転職は難しくなり、転職エージェントから断れることがあります。
未経験の業界・職種への転職は、採用側から見ると、その人がその業界・職種に適した人材かどうかを判断することが難しくなります。また多くの企業は教育や研修などにかける余力がないため、積極的に未経験者を採用することができないという事情があります。特に業界と職種ともに未経験の場合はハードルが高くなります。
理由5:希望条件が厳しい
希望条件が厳しい場合、自分が望む求人に出会うことができず、「紹介できる求人はありません」と言われる可能性が高くなります。その理由には、以下のようなものがあります。
1)給与・待遇の希望が高すぎる
日本の企業の多くは、中途採用の給与は①自社の給与テーブルと②前職の給与で決まります。希望する給与・待遇が業界や職種の水準を大きく超えている場合、紹介できる求人は限られてしまいます。
2)勤務地・勤務時間が限定されている
希望する勤務地・勤務時間が限定されている場合、紹介できる求人は限られます。特に地方での勤務を希望する場合は、求人数が少ないため、転職エージェントで取り扱っていないことから断れることがあります。
著者の経験では、国際的な資格を持っている男性が地方での勤務を希望していました。ですが、地方ではそのような国際基準が必要とする企業がなく、彼の能力を評価してくれる企業がありませんでした。都内であればグローバル企業が多いため、年収も大幅にあがり実績も積めるので、東京の企業を紹介しました。地方にこだわっていたら、紹介をお断りするしかありませんでした。
難関資格でも、それを必要とする企業がなければ、評価されません。あなたのスキル・経験を高く評価してくれる企業へアプローチするのが転職成功の近道です。
3)職種・業界が限定されている
希望する職種・業界が限定されている場合も、紹介できる求人は限られてしまいます。特に未経験である場合や、専門性の高い職種・業界である場合は、他の経験がある候補者へ紹介が優先されます。
別名「賃金テーブル」ともいいます。給与テーブルは、賃金・給与を決める基準のことです。多くの企業は勤続年数と等級で決まります。給与テーブルの決め方にその企業の姿勢が表れます。
等級=新人から幹部レベルまで業務のスキル・レベルをランク分けしたもの
等級のつけ方で、その企業がどんな人材が欲しいのか、どのような未来をめざしているのかがわかります。
給与テーブルの反対の考え方が成果に応じて給与が決まる成果報酬型です。
例)勤続年数が増えるにつれて給与が上がる:その企業は長く働いてくれる人を重んじている
企業により給与テーブルは公開、非公開とさまざまです。
理由6:転職回数が多い・勤続期間が短い
転職回数が多い・勤続期間が短いと、安定性に欠けると判断されるため、求人紹介が難しくなります。
採用活動には時間・労力がかかるだけでなく、入社後もその人が成果を出すまで時間がかかります。すぐに辞めてしまうとその全てがムダになるので、企業はできるだけ辞めない人材を求めます。
20~30代前半くらいまでは、「転職回数1回=(卒業校の)偏差値10点落ちるのと同じ」と転職業界で言われています。
それ以降の年齢になると、経験や実績、前職の企業レベルが重視されます。転職エージェントは企業が出す非公開の採用条件を持っています。著者の経験では半数くらいが、転職回数が3回以上(応募する企業が3社目)、勤続期間が1年未満は応募できないとしていました。ただ、これらの条件は転職市場や応募状況で変わるものなので、気にしすぎないでください。
転職回数もプラス1~2回なら、その他の条件が良ければ転職エージェントは企業に交渉します。そのような応募時の交渉も転職エージェントの仕事です。
転職回数・勤続期間が短いと入社後の定着を心配され、転職エージェントからの紹介がない可能性があります。
理由7:体調面で不安がある
身体や精神の健康に不安があるときも、転職エージェントから紹介を断られることが多いです。
健康問題から、入社後に業務をこなせなかったり、長期間休んでしまったりと成果を出せるか心配されるためです。特に最近ではメンタルヘルス不調で休業・退職する人も増えているので、過去に休職したことがある人を避ける傾向にあります。
また、企業は法的に従業員の健康を管理する義務があるので、入社後に体調不良で休業や退職になるとその企業全体の管理問題になってしまうのです。
心身の健康に問題があると転職エージェントから求人紹介がないことがあります。
理由8:ブランク期間が長い
ブランクが長い場合、紹介を断られることがあります。理由は次の2つです。
1)それまでのスキル・経験が古くなっていて、成果を出せないこと
2)ブランクの理由によりまた休むのではないかと不安視されること
変化の激しいIT関連だけでなく、たとえば人事や経理などでもスキルは古くなってしまいます。法律は毎年改正されますし、ソフトも更新されています。もし転職のために退職してブランクがある場合は、3か月くらいまでがギリギリ、半年になるとかなり不安視されます。本人の病気や家族の育児・介護などやむを得ない事情もあるでしょうが、転職においてはブランク=リスクと考えてください。
理由9:社会人経験がない:ニート・フリーター・無職
社会人経験がない場合、仕事に必要なコミュニケーション能力やビジネスマナーなどが不足していると判断されやすいので、紹介されないことがあります。コミュニケーション能力やビジネスマナーなどは「ソフトスキル」と呼ばれます。資格やスキル・経験といった「ハードスキル」と同様に仕事で成果を出すための能力としてどちらも大切です。
1)コミュニケーション能力の不足: 社会人としてのコミュニケーション能力が不足している場合、チームでの業務遂行や上司や同僚とのコミュニケーションが円滑に進まず、業務に支障が出る可能性があります。特に、ビジネスでのコミュニケーションには、正確かつ適切な表現能力が必要です。
2)ビジネスマナーの不足: 社会人としてのマナーや挨拶などの基本的なスキルが不足していると判断されることがあります。例えば、面接時に身だしなみや挨拶、言葉遣いなどに問題がある場合、企業側からマナー不足と見られ、不採用となる可能性があります。
3)業務経験の不足: 社会人経験がない場合、業務経験が不足していると見られます。そのため、企業側から業務遂行能力が不透明であると判断される可能性があります。
理由10:経歴が特殊すぎる
経歴が特殊な場合、スキル・経験に合致する求人がなく紹介を断られることがあります。
著者の経験では、大学卒業後から起業し企業に勤めた経験のない求職者さんの紹介は大変でした。企業は組織人が欲しいので、組織で働いたことがない人はチームワークができないのではと心配されます。スキル・経験は豊富なのですが、難航しました。時間がかかりましたが、ベンチャー企業の社長室で社長の右腕として入社されました。
経歴や、スキル・経験が特化しすぎている、特殊すぎると合う求人がないことから断られる可能性があります。
理由11:転職の熱意が低い 実はかなり重要
実際に断られた側からのアンケートには載っていませんが、転職エージェントから見るお断りの理由では上位に上がるのが、転職熱意が低いことです。
「転職エージェントの儲けのカラクリ」で説明したとおり、転職エージェントは企業から求職者が入社した成功報酬で成り立っています。どうしても、転職したい!という熱意が高い人を優先的にサポートします。
登録するひとの大半は情報収集のみで、それを断る転職エージェントはほとんどありません。ただ、サポートに入るとなると、かなりの労力と時間を割くので優先順位を付けられます。担当者がすでに優先順位の高い求職者を抱えている場合は、サポートをお断りすることがあります。
転職エージェントに断られたときの対策5選
ここからは、他の人は転職エージェントに断られたときにどのようにしたのか、「転職エージェントの利用を断られた経験がある121人のアンケート」の続きと、転職エージェントに断られたときの具体的な対策を説明します。
断られたあと何をした? 121人のアンケート
上の「転職エージェントの利用を断られた経験がある121人のアンケート」の続きで、断られた後にとった行動についてのアンケート結果です。
驚くべきことに、1割以上の人が転職をあきらめています。転職力は、筋力に似ています。若い時の方が強く、きたえ続けないと衰えてしまいます。実際に転職しなくても、定期的に転職活動をして自分の市場価値や転職市場を確認して転職力をきたえる必要があります。
転職力をきたえておかないと、意に沿わない異動や転勤、リストラ、役職定年などにあったときに、対処できません。
一番転職力がある今、あきらめるという選択肢は人生後半で詰むリスクがあります。ぜひ次からの具体的な対策を実践して、転職を成功させてください。
対策1:同じ転職エージェントで希望条件を変えて再登録する
アンケートでは5位だった希望条件を変えることですが、著者は最初にすることをおすすめします。なぜなら、既に登録してある転職エージェントで条件を変えるのが最も手間がかからないからです。
条件に優先順位をつける&捨てる条件を選ぶ
希望条件を変える準備として、改めて自己分析をし直してみましょう。「転職軸:最重要ポイント!実は採用担当者が一番見ている」でやり方を詳しく説明しています。
恋愛と同じで、すべての条件を満たす企業はありません。また、同じ企業でも上司や同僚で雰囲気は変わりますし、企業の方針で業務内容も変わることがあるでしょう。ですから、絶対に譲れない条件と条件の幅を考え直してみてください。
著者が担当した例をあげます。
例)絶対に譲れない条件:年収アップ 捨てた条件:勤務地
条件の幅を「年収」だけにせず、手取りと生涯年収まで広げた例です。
・現職年収:400万円 ⇒ 転職後年収:400万円
・年間休日:105日 ⇒ 121日 休日日数が増えたことで、年収が約26万円アップしたのと同じ。(増加休日16日×日割り年収(400万円÷(365日-121日)))
・副業禁止 ⇒ 副業OK もともと副業に興味を持っていた求職者さんだったので、増えた休日を利用して副業を開始しました。
・協会けんぽ ⇒ 組合健保 組合健保により従業員の負担率は変わりますが、総じて協会けんぽより従業員の負担が少ないです。負担が減った分、手取りアップ。協会けんぽと組合健保の違いは下の囲みで説明しています。
・企業型確定拠出年金なし ⇒ 企業型確定拠出年金あり 厚生年金だけでなく、転職先では企業型確定拠出年金があり、将来受け取れる年金額が増えることで生涯年収がアップしました。
捨てた条件は勤務地でした。買ったばかりの持ち家と生まれたばかりの子どものために自宅近くの勤務地を望んでいましたが、通勤約1時間を妥協しました。希望条件にこだわり過ぎず、優先順位をつけること、譲れない条件には幅を持たせること、捨てる条件を選ぶことで、転職は成功します。
給与から天引きされるものは、税金と社会保険料です。社会保険料は健康保険、厚生年金、介護保険、雇用保険です。
社会保険の健康保険には、「協会けんぽ」と「組合健保」の2種類があります。
協会けんぽ:
・加入:主に中小企業
:保険料率: 9.51%~11% 都道府県ごとに決められている
組合健保:
・加入:主に大企業
・保険料率:3%~13% 健保組合ごとに設定 多くの場合7%~9% 協会けんぽよりかなり安いです
・付加給付:協会けんぽにはないメリットです。自己負担額は各健保組合によりますが、高い医療費を払っても自己負担の限度額が2.5万円くらいになります。自分自身で入る医療保険を節約できるのもメリットですね。
※協会けんぽの場合も、高額な医療費がかかった場合は「高額医療費制度」という自己負担を抑えられる制度がありますが、組合健保ほど負担額を減らせません。詳しくは厚生労働省 高額医療費制度
応募書類も登録する
同じ転職エージェントに登録するときに、履歴書・職務経歴書もアップすると、求人紹介の確率があがります。
転職エージェントは求職者の優先順位を決めるときに、転職意欲が高い人と年収が高い人を優先します。企業からの報酬は求職者が入社したときに、報酬額は求職者の想定年収で計算されるからです。そのため、応募書類をアップしておくと転職意欲が高いと判断され、転職エージェント内での優先順位が上がるので、紹介されやすくなります。
転職エージェント内で優先順位が上がるとは、良い担当者が付くということです。良い担当者は企業の内部情報にも詳しく、サポートも的確なので求職者の内定率が高くなります。
スキル・経験をくわしく登録する
スマホで登録している人は特に面倒に感じるかもしれませんが、スキル・経験をくわしく登録すると、求人紹介の確率が上がります。
どうしても、自分が活かしたいスキル・経験を記載してしまいがちですが、それで紹介がなかったことを受け止めましょう。登録されたスキル・経験や出身校、年齢などで自動的に分類されてしまうので、登録しないとチャンスがどんどん減ってしまいます。あなたが重要視していない、または苦手なスキル・経験も登録すると、可能性が広がります。
著者自身の経験で説明します。英語が苦手なため、英語のことを登録せず転職活動を始めました。しかし紹介が少ないので試しにTOEICを登録したところ、海外に子会社を持つ企業の財務経理の仕事を得られました。
複数のスキルを掛け合わせることで、差別化できることがあります。一つのスキルでは難しい業界や職種にも可能性がひろがります。自信がない、実務経験がない資格、苦手なスキルなども登録すると思わぬ可能性が広がり、紹介につながります。
・可能性を広げるために、苦手なスキルや資格も登録する
・紹介されてから応募するかどうか決める。まずは紹介をもらえるようにする。
・内定を取ってから入社するか考えればOK。転職活動は後出しじゃんけんです。
対策2:時期を変えて利用する
転職市場というのはいろいろな要素で大きく変わります。紹介を断られても「時期が悪かった」と深く落ち込まないでください。時期だけで転職を考えるのはおすすめしませんが、転職市場がどのように変わるのか理解しておくと良いでしょう。退職時期を考えるヒントにもなります。
求人数が多いときは、給与・条件ともに良い傾向にあるうえ、交渉もしやすいです。逆に求人数が少ないときは、給与・条件が悪く、交渉が難しくなります。
転職のねらい目 求人数が多い時期
1)1~3月と夏休み後の8~9月
8月を夏休み後としているのは、長期休暇前は企業が採用活動を停止していることが多いので、求人数が減るからです。休暇が終ってから10月の下半期開始に向けて採用活動が動きます。
7月のボーナス⇒夏休み(有給消化)⇒退職者が増える⇒求人も増える、という流れになります。
2)景気が良いとき
有効求人倍率は景気一致指数といわれています。要は、景気の良い悪いと連動して企業が採用活動を行っている、ということです。景気が良い時期は企業、事業の成長にともなって人手が足りなくなり、企業の採用活動が活発になります。人気業界・企業でも広く募集がある、人を取り合うので給与が上がりやすい、などメリットが多いです。
逆に、景気が悪いときは、求人数が少ないうえに条件が悪いです。転職のために退職していなければ、現職に留まってスキルや経験を磨くことをおすすめします。
求人が少ない時期
1)7~8月夏休みまで
求人数が一年間で最も少ない時期。企業が4月の年度初めに向けて採用活動を始め、6月までに追加補充が終わっています。この時期は人員が最も多いので求人数は少ないです。この後、ボーナス⇒夏休み(有給消化)⇒退職者が増える⇒求人も増える、という流れになります。
2)11~12月
企業は12~1月に入社する人員を確保し、採用活動は11~12月までには完了している。また、年末の繁忙期と重なり求人数が少なくなります。
3)繁忙期
ほとんどの企業は、年末年始、決算直前は忙しいです。また、募集する部署のプロジェクトが進んでいる最中も採用はほぼありません。
繁忙期が始まる前までに人員の補充が終わっているからです。この時期に転職活動をおすすめしないのは、求人数が少ないだけでなく、退職が難しいからです。採用活動は非常に手間も時間もかかるので、強い引き留めにあう可能性が高くなります。繁忙期には、転職準備やスキルアップにあてましょう。
4)景気が悪いとき
採用活動よりリストラで企業は生き残りをかけて必死なときです。条件も悪くなりがちなので、現職のせいで心身の調子を崩しているなど、緊急でないかぎり転職はおすすめできません。景気は循環するものなので、景気が上向いたときにスタートダッシュできるよう、準備に時間をかけましょう。
対策3:長期的な計画を立てる:市場価値を上げる
紹介を断られた理由がスキル・経験不足であれば、長期的な計画をたてることをおすすめします。注意点はポイントがずれた努力をしない、この一点です。
転職エージェントから、どのようなスキル・経験が不足しているのか聞くのが一番手っ取り早いです。
聞けない場合は、転職サイトであなたが希望する職種や条件で求人を探します。希望に合った求人の採用条件と現在のあなたのスキル・経験を比べて、何をプラスすれば応募できるのか確認します。まず、希望条件の求人情報からゴールを決めて、逆算して資格やスキル・経験を身に着ければムダな努力をすることはありません。ゴールが決まれば、社内で必要なスキル・経験を身に着けられる業務があったときにも、すすんでチャンスをものにできます。
ときには長期的な計画を立てて、転職市場での競争力を身に着けることであなたが希望する仕事をつかむことができます。
対策4:転職エージェント以外の方法を使う
転職活動は転職エージェント以外にも方法はありますが、基本は転職エージェントとの併用がベストです。転職エージェントの転職ノウハウを使わない手はありません。転職エージェントが無料で利用できる理由や使い方は「転職 エージェントとは? メリット・デメリット~ヤバいエージェントの見抜き方」で詳しく説明しています。
転職サイトを利用する
転職サイトは、企業にとって転職エージェントよりもコストが安いため、求人数が多いこと、未経験でも応募できる求人があることが大きな特徴です。詳しい転職サイトの特徴は「【転職サイト】使い倒し方・利用ポイント・注意点」で説明しています。
転職サイトを利用するときの注意点は、転職者の半数以上が利用しているので、応募が多いことです。その分競争が激しいので、応募する企業数を増やしてください。
ハローワークを利用する
地方や中小企業に応募するときは、ハローワークを利用すると求人が見つかることもあります。ハローワークは国が運営しているので、企業も求職者も無料で使えます。無料で求人を載せられるので、求人数がとにかく多いです。
利用するときの注意点
1)ブラック企業
ハローワークに載っている企業がすべてブラックというわけではありません。転職エージェントや転職サイトは費用がかかります。人材採用に費用をかけるということは、それだけ人を重視しているということです。また、高いコストをかけて採用した人材は辞めないように大切にされます。あなたも高いものを安いものより大切に扱うことはありませんか?企業も同じことです。
2)情報の更新が遅い
ひとは無料だと雑に扱うことがあります。有料だとひんぱんに情報を更新して、より自社に合った人材を採用しようと必死ですが、無料なので「載せたまま」の求人もあります。また、中小企業は採用担当が少ないことも更新が遅い理由の一つです。都度、企業に問い合わせる必要があります。
3)情報が少ない
ハローワークに載っている求人は、情報が少なく、企業情報や業務内容など詳しくわかりません。ハローワークの職員に聞いても情報をもらえないので、企業に聞くしかありません。ハローワークを利用して転職活動をするのは、自分でやることが多く大変な面があります。ただ、地元の小さい企業の求人が載っていることがあるので、地域にこだわりがある人には向いています。
対策5:違う転職エージェントに登録する・併用する
同じ転職エージェントに再登録することの次におすすめするのが、他の転職エージェントに登録することです。登録するときには、「対策1:同じ転職エージェントで希望条件を変えて再登録する」で説明した希望条件を厳選し優先順位をつけ、応募書類もアップすることを忘れないでください。スキル・経験をていねいに登録することも必須です。めんどうに感じるときは、なぜ転職したいと思ったのか思い出してください。人間関係に悩んでいたり、将来が不安だったりしているのではないでしょうか。転職活動を将来への投資だと考え、リターン=希望に合った仕事のために踏ん張ってください。
転職エージェントの種類
転職エージェントには大きく、総合型と特化型があります。転職エージェントに紹介を断られたなら、総合型・特化型それぞれ4社以上は登録してみましょう。何度も登録するうちに、あなたのスキル・経験の棚卸しにもなります。また、登録に慣れることで表現が洗練され、応募書類の質も上がります。
1)総合型:幅広い業界・職種の求人情報を持っています。全国区対応が多いので、地方在住の人・IUターン希望の人には必須です。大手企業が多いのも特徴です。大企業なので、新卒で転職経験がない担当者がつく可能性があります。
2)特化型:年代・業界・職種・地域・年収などいろいろな属性にに特化しています。総合型より小規模な転職エージェントが多いのでより担当者の質の見極めが大切になります。
例)20代未経験、IT業界、営業職、東海地方、年収800万円以上などに特化
「転職 エージェントとは? メリット・デメリット~ヤバいエージェントの見抜き方」この記事で転職エージェントの使い方や注意点などを元転職エージェントの目線で詳しく解説しています。
転職エージェントを使い分ける
「転職エージェントの種類」で説明した2種類を両方を使い、それぞれの強みを活かすのがもっとも効率良いです。
大手・総合×中小・特化の組み合わせが最強
1)大手・総合型
求人数が多いことが最大のメリット⇒業界・職種にしばられず幅広く可能性を広げられる。
総合型転職エージェントから断られた場合は、大手3社の登録は必須です。理由は、総合型は業界・職種ともに幅広くカバーしているので、未経験でも応募できる年齢のうちに可能性を知るためです。
2)中小・特化型
特定の業界や職種に特化している⇒専門的なアドバイスや企業とのパイプの太さ、特化した非公開求人がある
断られた転職エージェントが特化型だった場合、そのエージェントの専門分野でなかった可能性が高いです。あなたの現在の状況に合った転職エージェントとあなたの希望に合った転職エージェントをそれぞれ登録してください。現在の状況に合った転職エージェントとは、たとえば20代や営業職に特化しているところです。希望に合ったとは、もし今の仕事が製造業で不動産業を希望しているなら、不動産業界に特化したエージェントになります。
転職エージェントの種類については「転職エージェントの種類と特徴」でもくわしく説明しています。
まとめ
転職エージェントは採用企業のために動いているので、ときには求人紹介を断られることがあります。でも、ここで絶対に転職をあきらめないでください。年齢と転職回数が増えるほど、転職が難しくなるからです。つまり、「今」が一番転職しやすいときです。
転職エージェントとして、55歳くらいで役職定年を迎えてはじめて転職活動を始めるひとをたくさん見てきました。30年以上自身の市場価値を知らない状態というのは、リスクでしかありません。実際に入社しなくても、転職活動を通してあなたの市場価値や転職トレンドを知っておくことは、昇進やキャリアプランにも役立ちます。断られた理由がわかれば対策を立てられます。理由や対策についてもこの記事で詳しく説明しているので、ぜひあきらめないで転職活動をつづけてください。
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